小学生のお子さんをお持ちの親なら、「習い事はいくつさせるべきか」という悩みを一度は抱えたことがあるだろう。周りの子は英語にスイミング、ピアノにサッカーと忙しそう。でも我が子にとって本当に必要な習い事はどれで、いくつまで無理なく続けられるのか。この記事では、実際の専門家の意見や体験談をもとに、小学生の習い事の適正数と選び方のポイントについて解説する。
小学生の習い事はいくつまでが理想的?専門家が教える適正数と子どもの負担を考えたバランス
子どもの成長にとって習い事は大切な経験となる一方で、詰め込みすぎれば逆効果にもなりかねない。専門家の見解や実体験から、小学生に最適な習い事の数と選び方について考える。
- 小学生の習い事は2〜3つが理想的であることが多い
- 小学1年生の習い事3つは多すぎる?我が家の体験から振り返る
- 習い事をたくさんさせる親の心理とは?不安や期待の裏側
- 習い事が多い方がいいと思っていた私が気づいた子どもの本音
- 小学生の習い事ランキングから見る人気の傾向と選び方
小学生の習い事は2〜3つが理想的であることが多い

教育専門家によると、小学生の習い事は週に2〜3つが適切とされる。これは単に数の問題ではなく、子どもの自由時間や家庭学習の時間も確保した上での目安だ。発達心理学の観点からも、子どもの発達段階に応じた適度な刺激と休息のバランスが重要とされる。特に低学年のうちは、1日1つの習い事にとどめ、高学年になるにつれて少しずつ増やしていくのが理想的だ。忘れてはならないのは、子どもにとって「遊ぶ時間」も重要な学びの時間であるという点。習い事で予定がびっしり埋まってしまうと、友達との自由な遊びや創造的な時間が失われてしまう恐れがある。
小学1年生の習い事3つは多すぎる?我が家の体験から振り返る

実際に長男が小学1年生のとき、熱心な親心から水泳、ピアノ、英会話の3つを同時にスタートさせた経験がある。最初は楽しそうに通っていたものの、2ヶ月ほど経つと「疲れた」という言葉を口にするようになった。学校生活に慣れる時期と重なり、宿題との両立も難しくなっていたのだ。結局、本人と相談し一時的に水泳だけに絞ることにした。その結果、子どもの表情が明るくなり、自主的に水泳の練習を家でするようになった。低学年のうちは特に、学校生活に慣れることを優先し、習い事は1〜2つに抑えることで、子どもが無理なく継続できる環境づくりが大切だと気づかされた体験だった。
習い事をたくさんさせる親の心理とは?不安や期待の裏側
子どもにたくさんの習い事をさせたいと考える親の心理には、いくつかの要因がある。まず、「将来のため」という思いがあるだろう。早期教育の重要性が叫ばれる今、わが子の可能性を広げたいという親心は当然のものだ。また、「周りと比べて遅れをとらせたくない」という競争意識も影響している。特に教育熱心な地域では、この傾向が強まる傾向にある。さらに、自分自身が子どもの頃に経験できなかったことを子どもに経験させたいという代理達成の心理も働いていることがある。しかし、こうした親の期待や不安が先行し、子どもの意思や適性、体力を無視した習い事選びになっていないか振り返ることも大切だ。子どもの成長には個人差があり、周りと同じペースで進める必要はないことを忘れてはならない。
習い事が多い方がいいと思っていた私が気づいた子どもの本音
長女が小学2年生のとき、友人の子どもが5つの習い事を掛け持ちしているという話を聞き、焦りを感じたことがある。そこで長女にも新たに習い事を追加しようと考え、候補をいくつか提案した。しかし、長女は「今のままがいい」と言う。当時既にピアノと絵画教室に通っていた長女は、残りの時間で友達と遊んだり、自分の好きな本を読んだりする時間を大切にしていたのだ。ある日、長女の友達のお母さんから「うちの子、習い事が多すぎて友達と遊ぶ時間がなくて寂しそう」という話を聞き、はっと気づかされた。子どもにとって「何もしない時間」や「自由に遊ぶ時間」も貴重な成長の機会なのだ。習い事の数よりも、子どもが心から楽しめているか、そして生活全体のバランスは取れているかという視点で見直すことが大切だと学んだ。
小学生の習い事ランキングから見る人気の傾向と選び方
全国の小学生を対象とした習い事の人気ランキングによると、上位には水泳、英語、ピアノ、サッカー、学習塾などが挙がる。しかし、人気があるからといって我が子に必ず合うとは限らない。習い事を選ぶ際は、流行りではなく子どもの興味や適性を第一に考えるべきだ。また、体を動かす運動系、頭を使う学習系、感性を育てる芸術系など、バランス良く選ぶことも一つの方法だ。例えば、週2回の水泳と週1回の英語教室という組み合わせなら、体と頭をバランスよく使うことができる。さらに、将来的な実用性を考えると、英語やプログラミングなどのスキル系の習い事も注目されている。特にプログラミングは2020年から小学校の授業にも取り入れられ、論理的思考力を養う観点からも人気が高まっている。

周りの子はあれもこれもと忙しそうで、うちの子も遅れをとらせたくないけれど、詰め込みすぎも心配…そんな悩みを抱えている親は多いはず。
小学生の習い事が多すぎる場合のサインとデメリット
子どもにとって習い事は成長の糧となる一方で、詰め込みすぎると様々な悪影響が出ることも。ここでは習い事が多すぎる場合のサインとデメリットについて解説する。
- 小学生の習い事が多すぎる時に現れる5つのサイン
- 習い事たくさんのその後ー継続率と子どもの成長への影響
- 習い事たくさんさせる親の意外な盲点とは
- プログラミングは小学生にとって負担になりにくい理由と始め方
- 小学生の習い事はいくつが適切か最終的に決めるのは親と子ども
小学生の習い事が多すぎる時に現れる5つのサイン
子どもが習い事を楽しめなくなり、負担に感じ始めると、いくつかの変化が現れる。まず、朝起きるのが極端に辛くなったり、夜遅くまで宿題に追われるようになったりする。また、以前は話していた習い事の内容を話さなくなったり、行きたくないと言い出したりすることもある。体調面では、頭痛や腹痛などの不定愁訴が増えることも要注意だ。息子が通っていた水泳教室の先生から「最近集中力が続かない」と連絡があった時、振り返ってみると確かに家でもぼんやりすることが増えていた。これは疲労の蓄積によるものだったかもしれない。子どもの様子をよく観察し、こうしたサインが見られたら、一度習い事のスケジュールを見直すことが大切だ。無理をさせ続けると、せっかくの習い事が嫌いになってしまうリスクもある。
習い事たくさんのその後ー継続率と子どもの成長への影響
複数の習い事を詰め込みすぎると、継続率が低下するという調査結果がある。ある教育機関の調査によると、小学生時代に4つ以上の習い事を掛け持ちしていた子どもの約60%が、中学生になるまでにそのうち半分以上を辞めているという。一方、1〜2つに絞って続けていた子どもは、中学生以降も約70%が継続しているという結果だ。浅く広くよりも、少数に絞って深く取り組むことで、本当の意味での上達や達成感を味わえることが多い。また、心理学的な観点から見ても、一つのことを長く続ける経験は、子どもの忍耐力や集中力、自己効力感の形成に重要な役割を果たすとされる。習い事を通じて何かを「極める」経験をさせることも、子どもの成長にとって価値のあることだ。
習い事たくさんさせる親の意外な盲点とは
子どもに多くの習い事をさせる親の意外な盲点として、「子どもの意志より親の価値観が優先されている」点が挙げられる。「将来役立つから」と親が選んだ習い事が、必ずしも子どもの適性や興味と一致するとは限らない。また、習い事の送り迎えや準備などで親自身も疲弊し、肝心の親子の会話時間が減ってしまうケースも少なくない。ある母親は「習い事の送迎に追われるあまり、子どもと落ち着いて話す時間がなくなっていた」と振り返る。さらに、習い事の結果や成果を過度に期待することで、子どもにプレッシャーを与えてしまうこともある。子どもの習い事は、単なるスキル獲得の場ではなく、様々な経験を通じて自己肯定感を育む場であることを忘れてはならない。親は常に子どもの表情や言葉に耳を傾け、適切なバランスを見つけることが重要だ。
プログラミングは小学生にとって負担になりにくい理由と始め方

近年注目されるプログラミング教室だが、他の習い事と比べて負担になりにくい特徴がある。まず、多くのプログラミング教室ではゲーム感覚で学べるカリキュラムが導入されており、子どもが楽しみながら学習できる点が大きい。また、週1回程度の通学で十分な効果が期待でき、毎日の練習が必須の音楽やスポーツ系の習い事と比べて家庭での負担が少ない。さらに、パソコンやタブレットさえあれば、移動時間なしで自宅でも学習を続けられる点も魅力だ。中学年の息子がプログラミング教室に通い始めたとき、他の習い事とは違い「今日は何作ろうかな」と前向きに取り組む姿が印象的だった。プログラミングを始める際のポイントは、まず体験教室に参加して子どもの反応を見ること。また、子ども向けプログラミング言語「Scratch」などから始めると、比較的抵抗なく取り組めることが多い。論理的思考力を育むプログラミングは、他の教科の学習にも良い影響を与えると言われている。
小学生の習い事はいくつが適切か最終的に決めるのは親と子ども
習い事の適切な数に絶対的な正解はない。最終的には家庭の状況や子どもの性格、体力、学校環境などを総合的に判断する必要がある。小学校低学年であれば1〜2つ、高学年になれば徐々に増やして2〜3つ程度というのが一般的な目安だが、あくまでも子どもの様子を見ながら調整していくことが大切だ。また、習い事をする目的も明確にしておきたい。単に「周りがやっているから」ではなく、どんな力を伸ばしたいのか、何を経験させたいのかという視点で選ぶと、より効果的な習い事選びができる。幼稚園の頃から続けている長女のピアノは、彼女自身が「コンクールに出たい」と言い出したことをきっかけに、週2回に頻度を増やした。一方で、長男のサッカーは友達との交流を楽しむことが主な目的なので、週1回の活動にとどめている。こうした柔軟な調整が、子どもが無理なく習い事を続けるコツと言える。

『楽しいはず』の習い事で子どもが疲れていないか、ふと不安になることがある。子どもの様子の変化を見逃さないためのヒントが知りたい。
小学生におすすめの習い事の組み合わせと両立のコツ
実際に小学生の子どもにどのような習い事の組み合わせがおすすめか、また複数の習い事を無理なく両立させるコツについて紹介する。
- 習い事たくさんは金持ちのためだけではない!コスパの高い選択肢
- 小学生の習い事ランキングで上位のものを掛け合わせる効果
- プログラミングと相性の良い習い事の組み合わせ方
- 我が子に合った習い事の見極め方ー1ヶ月で分かった適性
- 小学生の習い事はいくつでも子どもが楽しめるかが最重要
習い事たくさんは金持ちのためだけではない!コスパの高い選択肢

習い事を複数掛け持ちするとなると費用面での心配も出てくる。しかし、必ずしも高額な予算が必要なわけではない。近年は地域の公民館や児童館で行われる低価格の習い事も充実している。例えば、市区町村が運営するスポーツ教室や文化教室は月額2,000円程度で参加できることも多い。また、オンライン習い事の普及により、通学時間や交通費を削減しながら質の高い指導を受けられるようになった。さらに、同じ教室で兄弟割引を利用したり、複数の習い事をパッケージで提供する総合教室を選んだりすることで、コストを抑えることも可能だ。我が家では地元の総合体育館で行われている公営の水泳教室を利用しているが、民間スイミングスクールの半額程度の月謝で良質な指導が受けられている。習い事にかかる費用は月謝だけでなく、教材費や発表会費用、送迎の交通費なども含めて総合的に考えることが大切だ。
小学生の習い事ランキングで上位のものを掛け合わせる効果
人気のある習い事には、それぞれに子どもの成長に欠かせない要素が含まれている。例えば、水泳は体力づくりだけでなく、集中力や忍耐力を養う効果がある。英語は語学力はもちろん、異文化理解や表現力の向上にも役立つ。こうした異なる分野の習い事を組み合わせることで、相乗効果が期待できる。例えば、水泳と英語の組み合わせなら、体と頭をバランスよく使うことができる。また、ピアノと算数・国語の学習塾という組み合わせは、芸術的感性と学力の両方を伸ばすことができる。長男がサッカーとプログラミングを始めてから、チームでの動きを考える力や戦略的思考力が向上したように感じる。それぞれの習い事が別々の能力を伸ばすような組み合わせを考えると、少ない数でも効果的な習い事選びができるだろう。
プログラミングと相性の良い習い事の組み合わせ方
プログラミングは論理的思考力や創造力を養う習い事として人気が高まっているが、他のどんな習い事と組み合わせると相乗効果が期待できるだろうか。まず、算数や数学の学習塾との相性が良い。プログラミングで学ぶアルゴリズム的思考は、数学的思考と共通する部分が多いからだ。また、英語との組み合わせも効果的だ。プログラミング言語の多くは英語をベースにしているため、英語の学習がプログラミングの理解を深めることにつながる。さらに、ロボット教室との組み合わせも注目されている。プログラミングで作ったプログラムを実際のロボットで動かす体験は、子どもの達成感を高める。長女がプログラミング教室と英語教室に通い始めてから、「英語でプログラミングについて話してみたい」と意欲を見せるようになった。異なる分野の習い事でありながら、子どもの中では自然に融合し、学びへの興味が広がっているようだ。
参考:プログラミング学習ポータルサイト「METI×Progate」
我が子に合った習い事の見極め方ー1ヶ月で分かった適性

子どもに合った習い事を見極めるには、まず体験レッスンや短期教室に参加してみることが大切だ。しかし、1回の体験だけでは分からないこともある。長男が水泳を始めたとき、最初の数回は「怖い」と言って泣いていたが、1ヶ月ほど続けているうちに水に対する恐怖心がなくなり、むしろ楽しみにするようになった。このように、習い事によっては慣れるまでに時間がかかることもあるため、最低でも1ヶ月程度は続けてみることをおすすめする。その間、子どもの反応をよく観察してほしい。レッスン後の表情は明るいか、自主的に練習したり話題にしたりするか、睡眠や食事に影響はないかなど、様々な角度から子どもの様子を見ることが大切だ。また、好きな遊びから適性を見極めることもできる。ブロック遊びが好きな子はプログラミングやロボット教室に向いていることが多いし、歌や踊りが好きな子は音楽やダンスの習い事が合っていることが多い。
小学生の習い事はいくつでも子どもが楽しめるかが最重要
- 習い事の数より質を重視し、子どもが心から楽しめる活動を選ぶことが大切
- 低学年は1〜2つ、高学年でも最大3つ程度を目安に、子どもの負担にならないようにする
- 学校生活とのバランスを考え、宿題や睡眠時間、自由遊びの時間も確保する
- 定期的に子どもと話し合い、継続するか見直すかを柔軟に判断する
- 習い事の送迎や準備などで親が疲弊していないか、家族全体の生活の質も考慮する
- 成績や結果よりも、子どもの興味や意欲を大切にする姿勢を持つ
- プログラミングなど、将来役立つスキルと子どもの興味が一致する習い事を探す
- 子どもの成長に合わせて習い事の内容や頻度を調整し、柔軟に対応する
※”小学生の習い事はいくつが適切?無理なく両立できる数と選び方のポイント”をまとめ

子どもの才能を伸ばしたいけれど、費用や送迎の負担も考えると、効果的な組み合わせを知りたい。他の家庭はどうしているのだろう?