鈴木岳史
HSC（高感受性児）のお子さんが不登校になると、親としてはどうサポートすればよいか悩むことも多いでしょう。この記事では、HSC児が安心して過ごせる家庭環境の整え方や、心身の健康を支える具体的な方法を詳しくご紹介します。お子さんの個性を尊重しながら、家庭での過ごし方を見直すヒントをお届けしますので、ぜひご一読ください。
HSC（Highly Sensitive Child）は一般に敏感な子供とされ、その特性から学校生活でストレスを感じやすく、不登校になることも少なくありません。親としては、適切な家での過ごし方を提供することが、子どもの心身の健康を支える重要な手段です。本記事では、HSC児の不登校時に有効な家での過ごし方について紹介します。
HSCとは？
HSCの特徴とは
HSC（Highly SensitiveChild）は、生まれつき感覚処理感受性が高い傾向を持つ子どものことを指します。感覚処理感受性とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感に加え、周囲の雰囲気や人の感情など、様々な刺激に対して敏感に反応する気質のことです。HSCは、これらの刺激を処理する脳の働きが一般の人よりも活発であるため、周囲の変化や刺激に気付きやすく、深く考え込む傾向があります。
HSCは、感受性の高さから、以下のような特徴を持つと言われています。
・共感性が高い：他人の感情に敏感で、相手の気持ちを察しやすい。
・想像力が豊か：周りの情報を組み合わせ、独自のアイデアを生み出すことが得意。
・完璧主義：物事を丁寧にこなそうとするあまり、時間がかかってしまうことがある。
・刺激に敏感：音、光、匂い、触感などに過敏に反応することがある。
HSCになる原因
HSCの明確な原因は解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複合的に影響していると考えられています。遺伝的な要因としては、感受性を司る脳の神経伝達物質や、扁桃体（感情を処理する脳の部位）の活動性などが関係しているという研究結果があります。また、環境的な要因としては、胎児期における母親のストレスや、幼少期の養育環境などが影響する可能性も指摘されています。
HSCと発達障がいの関係性
HSCと発達障がいは、どちらも生まれつきの特性であり、共通する特徴を持つ場合もあるため、混同されやすい点があります。例えば、感覚過敏やコミュニケーションの苦手さなどは、HSCと発達障がいの両方にみられることがあります。しかし、HSCは病気ではなく、発達障がいとは診断基準も異なります。HSCは、あくまでも個性のひとつとして捉えられますが、発達障がいは、社会生活を送る上で著しい困難が生じる場合に診断されるものです。
HSCが不登校になる理由
学校生活で過度の刺激を受けるから
学校は、HSCにとって刺激の多い環境です。大人数のクラスメイト、騒音、時間割に追われる生活など、HSCにとっては処理しきれないほどの情報や刺激が溢れています。例えば、休み時間の騒音や、給食の匂い、体育の授業での肌の触れ合いなどが、HSCにとっては大きなストレスとなることがあります。このような状況が続くと、HSCは学校に行くこと自体を避けようとするようになり、不登校につながってしまうことがあります。
集団行動が苦手
HSCは、集団行動の中で自分のペースを保つことが難しく、周囲に合わせようと無理をすることで、強いストレスを感じてしまいます。例えば、多数決で自分の意見が通らなかったり、グループワークで自分の役割がうまく果たせなかったりすることで、自己肯定感を低下させてしまうことがあります。また、HSCは、競争意識が強い環境や、一方的な指示が多い環境を苦手とする傾向があり、学校生活での集団行動に馴染めないことがあります。
慎重な性格が災いすることも
HSCは、慎重で思慮深い性格であるため、新しい環境や変化に対して不安を感じやすく、学校生活での様々なイベントや行事に参加することに躊躇してしまうことがあります。例えば、修学旅行や運動会などの大きなイベントはもちろんのこと、授業中の発表や、委員会活動など、人前に出たり、役割を任されたりすることに対して、強いプレッシャーを感じてしまうことがあります。
HSC児にとっての適切な家での過ごし方
休息とリラックス
HSC児にとって、家は安心できる場所であると同時に、学校での疲れを癒し、エネルギーを充電するための大切な場所です。そのため、HSC児が安心して過ごせるように、静かで落ち着いた空間を用意してあげましょう。部屋の照明を暖色系にしたり、アロマを焚いたり、リラックス効果のある音楽をかけたりするのも効果的です。また、HSC児は、外部からの刺激を多く受け取っているため、睡眠時間をしっかりと確保し、心身を休ませることも大切です。
家の中で役割をもたせる
HSC児は、責任感が強く、人の役に立ちたいという気持ちが強い傾向があります。そのため、家族の一員として、家事や役割分担に参加することで、自己肯定感や達成感を高めることができます。例えば、食事の準備を手伝ったり、洗濯物を畳んだり、ペットの世話をするなど、年齢や発達段階に合わせた役割を与えることで、HSC児は自信をつけ、家族の一員としての自覚を育むことができます。
自分の好きなことをする時間を設ける
HSC児は、感受性が豊かで、想像力や表現力が高い傾向があります。そのため、絵を描いたり、音楽を聴いたり、物語を読んだりなど、自分の好きなことに没頭することで、感性を育み、心を穏やかに保つことができます。また、好きなことに集中することで、学校でのストレスや不安から解放され、自己肯定感を高める効果も期待できます。
勉強も柔軟に取り入れる
HSC児は、学習意欲が高く、新しい知識や情報を吸収することに喜びを感じる傾向があります。しかし、学校での学習スタイルが合わない場合や、学習内容に興味を持てない場合は、学習意欲が低下してしまうことがあります。そのため、HSC児の興味関心に合わせて、博物館や科学館、美術館などに足を運んだり、自然体験や社会体験など、五感を刺激するような体験を通して学ぶ機会を提供することが重要です。
まとめ
HSC児にとって、家は安心できる場所であると同時に、自己肯定感を育み、成長を促すための大切な場所です。HSC児が不登校になった場合、焦らず、HSC児の気持ちに寄り添い、安心できる環境を提供してあげることが大切です。また、HSC児の個性や特性を理解し、その子に合ったペースで、ゆっくりとサポートしていくことが重要です。
