不登校の中学生を持つ親として、高校受験は大きな不安の種。「このまま進学できるのか」「うちの子に合った高校はあるのか」と悩む毎日。私自身、中学2年の息子が不登校になった時、何もかもが暗闇に包まれたよう。でも、焦りは禁物。不登校の子どもも自分のペースで高校受験を乗り越え、新たなスタートを切ることができる。この記事では、不登校の中学生を持つ親として知っておきたい受験対策や心構えを紹介。子どもの可能性を信じ、二人三脚で進む道しるべになれば幸い。
中学生の不登校でも高校受験は可能!親ができる具体的なサポート方法とは
不登校の子どもを持つと「高校受験なんて無理なのでは」と不安になるのは当然。しかし実際には、不登校の生徒でも様々な進学先があり、多くの子どもたちが高校に進学している。ここでは、不登校の中学生の高校受験についての基本情報と親ができる具体的なサポート方法を解説する。
- 中学不登校でも高校受験はどうなる?実際の進学率と成功例
- 「うちの子は勉強に手がつかない」焦りを感じた私の体験談
- 不登校でも行ける全日制高校の選び方と特徴
- 公立高校を諦める必要はない!内申点対策と面接での伝え方
中学不登校でも高校受験はどうなる?実際の進学率と成功例

文部科学省の調査によると、不登校の中学生の約70%が高校に進学している。この数字は思ったより高いと感じる親も多いのではないか。不登校だからといって高校進学の道が閉ざされているわけではない。むしろ、多様な高校の選択肢が増えた現代では、子どもに合った進学先を見つけやすくなっている。
私が参加している不登校の親の会では、フリースクールから難関公立高校に合格した例や、ほぼ完全不登校だった生徒が通信制高校から大学に進学した例など様々な成功例を聞く。大切なのは「不登校=進学できない」という固定観念を捨て、子どもの状況や特性に合わせた進路選択をすること。不登校の期間を単なる空白期間と捉えるのではなく、自分を見つめ直す大切な時間だったと後から振り返る子どもも多い。
「うちの子は勉強に手がつかない」焦りを感じた私の体験談

息子が中学2年の2学期から不登校になった時、最初の数か月は勉強に全く手をつけられなかった。朝は起きるものの、机に向かうことができず、一日中ゲームをしているような状態。私は焦りのあまり「このままでは高校に行けなくなる」と何度も息子を責めてしまい、親子関係が悪化した時期もあった。
転機は息子の趣味だったゲームの話を真剣に聞くようになってからだった。ゲームの中の数学的要素に興味を持っていることがわかり、そこから少しずつ数学の勉強に興味を示し始めた。最初は1日10分から始め、無理強いせず、できたことを認める姿勢に徹した。半年ほど経つと、自分から学習アプリを使って勉強するようになり、徐々に学習時間が増えていった。
この経験から学んだのは、子どものペースを尊重することの大切さ。焦りは子どもに伝わり、かえって状況を悪化させることも。まずは子どもの興味関心から学びにつなげる橋渡しをすることが、不登校の子どもの学習意欲を引き出す第一歩となる。
不登校でも行ける全日制高校の選び方と特徴

不登校の生徒でも通える全日制高校は意外と多い。特に私立高校には、不登校経験者を積極的に受け入れる学校が増えている。こうした高校の特徴としては、少人数制のクラス編成、個別指導の充実、登校時間の柔軟性、生徒の特性に合わせたカリキュラム、スクールカウンセラーの常駐などが挙げられる。
例えば東京都の某私立高校では、「チャレンジ入試」という枠を設け、不登校で内申点が低くても、面接と小論文、基礎学力テストで合否を判断している。また、登校が難しい日は保健室やサポート室での別室登校も認めており、徐々に教室に慣れていけるようサポート体制が整っている。
高校選びで重要なのは、オープンキャンパスや学校説明会に足を運び、実際の雰囲気を感じること。可能であれば、不登校経験者の受け入れ実績や支援体制について直接質問してみるとよい。表向きの情報だけでなく、実際に通っている生徒や卒業生の話を聞く機会があれば、より具体的なイメージを持つことができる。
公立高校を諦める必要はない!内申点対策と面接での伝え方
不登校で内申点が低くても、公立高校を諦める必要はない。多くの都道府県では、内申点と入試の点数の比率が5:5または3:7となっており、入試本番での得点次第で挽回可能。また、一部の公立高校では、不登校特別枠や配慮枠を設けている地域もある。
息子の同級生で、中学2年から不登校だったKくんは、定期テストだけは受けに行くという戦略をとっていた。そして面接練習を徹底的に行い、不登校になった理由と現在の状況、高校でやりたいことを誠実に伝える準備をした。結果として、地元の公立普通科に合格。面接で「不登校の間に自分と向き合う時間ができ、将来の目標が明確になった」と前向きに伝えたことが評価されたという。
内申点対策としては、まず担任の先生と率直に話し合い、できる範囲で提出物を出すことを心がける。完璧を求めず、少しでも提出することで、評価につながることもある。また、地域の教育委員会に相談し、特別な配慮が可能かどうか確認することも重要。不登校の理由や現状を正直に伝え、高校進学への熱意をアピールすることで、予想以上の理解を得られることもある。

ずっと不安だったけど、道はあるんですね…
不登校の中学生の受験準備で親がやるべきこととは
不登校の子どもの受験準備において、親の役割は非常に重要。過度に干渉せず、かといって放任するわけでもなく、適切な距離感でサポートすることが求められる。このセクションでは、不登校の中学生を持つ親が受験準備においてやるべきことを具体的に紹介する。
- 不登校の子の受験勉強、焦らずに進めるステップ
- 中3で不登校、勉強していなくても間に合わせる方法
- 不登校枠がある高校の探し方と出願のポイント
- 受験期の心のケア – 親子ともに「つらい」を乗り越える工夫
不登校の子の受験勉強、焦らずに進めるステップ
不登校の子どもの受験勉強は、一般的な受験生とは異なるアプローチが必要。焦って詰め込み学習をさせようとすると、プレッシャーで逆効果になることも多い。まずは子どもの現状を受け入れ、無理のないペースで進めることが大切。
最初のステップは、子どもの興味関心に合わせた学習素材を提供すること。例えば、歴史が好きな子には歴史小説や漫画から入り、理科が得意な子には実験キットや科学ドキュメンタリーなど、楽しみながら学べる環境を整える。次に、1日10分から始めるなど、短い時間から学習習慣を作る。できたことを具体的に褒め、成功体験を積み重ねることで自信につなげる。
我が家では、リビングに学習スペースを設け、親も一緒に何か作業をする「共同作業時間」を作った。息子は最初は漫画を読むだけだったが、そこから少しずつ参考書に手を伸ばすようになった。無理強いせず、自然に学習に向かう環境を作ることが効果的。
また、オンライン学習サービスや学習アプリの活用も効果的。「スタディサプリ」や「すらら」などは、自分のペースで学べるため不登校の生徒に人気。何度も巻き戻して見られる動画授業は、学校の授業についていけなかった部分を補うのにも最適。
中3で不登校、勉強していなくても間に合わせる方法

中学3年生で不登校になり、勉強にほとんど手をつけていない場合でも、効率的な学習方法で受験に間に合わせることは可能。まずは得意科目から手をつけ、成功体験を積むことが重要。全教科に手を出すより、入試で配点の高い科目や基礎的な内容に絞って学習する戦略も有効。
田村さんの息子さんは中3の6月から不登校になったが、数学と英語に絞った学習戦略で志望校に合格。教育支援センターの先生のアドバイスで、数学は中1、中2の基礎の復習から始め、英語は単語と基本文法に集中。他の科目は過去問から出題傾向を分析し、頻出テーマだけを重点的に学習した。毎日少しずつでも取り組むことで、5か月間で基礎学力を取り戻すことができたという。
家庭での学習が難しい場合は、フリースクールや教育支援センター(適応指導教室)、オンライン家庭教師などの外部リソースの活用も検討する価値がある。週に数回でも通うことで、学習のリズムができ、同じ境遇の仲間と出会うことで孤独感も軽減できる。
重要なのは「完璧を求めない」こと。すべての範囲を網羅するのではなく、基本的な問題が解ける程度の学力を身につければ十分。高校入学後も学び直しの機会はあるため、まずは最低限の学力と学習習慣を身につけることを目標にする。
不登校枠がある高校の探し方と出願のポイント
不登校特別枠や配慮枠を設けている高校は、従来の入試では評価されにくい不登校生徒の可能性を見出してくれる貴重な選択肢。こうした高校を探すには、各都道府県の教育委員会のウェブサイトや不登校生徒の進路情報を扱う専門サイトを活用するとよい。
不登校枠がある高校の特徴として、通常の内申点評価を行わない、作文や面接を重視する、体験入学や個別相談の機会が充実しているなどが挙げられる。例えば神奈川県の一部の公立高校では「不登校を経験した生徒等を対象とした特別募集」を実施しており、調査書の評定によらない選抜を行っている。
出願のポイントとしては、まず早めに情報収集を始めること。多くの特別枠は募集人数が限られているため、出願条件や提出書類を確認し、準備を進める必要がある。次に、志願理由書や面接対策を入念に行うこと。不登校の経験をマイナスではなく、自己理解や成長の機会としてどう捉えているか、高校でどのように学びたいかを具体的に伝えられるよう準備する。
佐藤さんの娘さんは、都内の不登校枠のある私立高校を受験。出願に必要な「活動記録」の作成に不安を感じていたが、家でのプログラミング学習や読書記録をまとめたポートフォリオを作成し、家庭での学びを評価してもらえた。不登校中の活動も、学校外での学びとして積極的にアピールすることが大切。
受験期の心のケア – 親子ともに「つらい」を乗り越える工夫
受験期は不登校の子どもだけでなく、親にとっても精神的に負担が大きい時期。子どもの将来への不安や周囲との比較で落ち込むこともあるだろう。そんな時こそ、親子の心のケアを忘れてはならない。
山本さんは、受験が近づくにつれ不安で眠れない日々が続いたという。そんな時、不登校の親の会で出会った先輩ママのアドバイスで「親が不安になると子どもに伝わる」と気づき、自分自身のストレス発散法を見つけることにした。週に一度のヨガ教室に通い、同じ境遇の親と話せる時間を作ることで心のバランスを保つことができた。
子どものケアでは、受験に関する話ばかりでなく、日常の何気ない会話を大切にすること。プレッシャーを和らげるためにも、家族での食事やちょっとした外出など、リラックスできる時間を意識的に作る。また、子どもの小さな努力や前向きな変化を見逃さず、具体的に認めることも重要。
つらい時期を乗り越える工夫として、親子で「受験後の楽しみ」を計画することも効果的。「合格したらどこに行きたい?」など、先の楽しみを共有することで、モチベーションを保つことができる。また、「この高校がダメでも次がある」という複数の選択肢を用意しておくことで、一つの結果に固執せず、柔軟に対応する心構えを持つことも大切。

具体的に何をすればいいか悩んでいたところです
不登校の中学生が前向きに進路を選ぶための親のアプローチ
不登校の子どもが自分らしい進路を見つけ、前向きに高校受験に臨むためには、親のアプローチが鍵となる。押しつけではなく、子どもの主体性を尊重しながら、視野を広げるサポートをすることが重要。ここでは、子どもが自分に合った進路を選ぶための親のアプローチについて解説する。
- 子どもが自分で決める力を育てるための関わり方
- 不登校で受験勉強しない時期があっても大丈夫な理由
- 将来の選択肢を広げるプログラミング学習のメリット
- 中学生の不登校を経験した親だからこそ伝えたいこと
子どもが自分で決める力を育てるための関わり方
不登校の子どもが自分で進路を決める力を育てるには、親が答えを与えるのではなく、一緒に考えるプロセスを大切にする関わり方が効果的。まずは子どもの興味関心や強みをじっくり観察し、言語化して伝えることから始める。「あなたは〇〇が得意だね」「△△に興味があるのは素晴らしいことだね」など、子どもの特性を肯定的に捉える声かけを心がける。
次に、様々な選択肢の情報を偏りなく提供すること。通信制、定時制、全日制、専門学校など、多様な進路について一緒に調べる時間を作る。この時、親の価値観で「この学校がいい」と誘導するのではなく、「どんな点が魅力的に感じる?」と子どもの感想を引き出す質問を投げかける。
田村さんの息子さんは当初、「どうせ自分には無理」と進路について考えることを拒んでいた。そこで田村さんは強制せず、休日に「ちょっとドライブしない?」と誘い、さりげなく各学校の前を通りながら「ここってこんな特色があるらしいよ」と情報を小出しにしていった。しばらくすると息子さんから「あの学校もう一回見てみたい」と言い出すようになり、少しずつ進路について考え始めたという。
決断を急がせず、「考えてもいい期間」を設けることも重要。最終的には子ども自身が決めたという実感を持てるように、親は黒子に徹する姿勢が大切。自分で選んだという経験は、高校入学後の困難を乗り越える原動力になる。
不登校で受験勉強しない時期があっても大丈夫な理由
不登校の子どもが受験勉強に向き合えない時期があっても、過度に心配する必要はない。その理由はいくつかある。まず、心の回復には個人差があり、無理に勉強を始めさせるより、精神的な安定を優先すべき時期がある。次に、一見何もしていないように見えても、ゲームや創作活動、読書などを通じて、思考力や集中力など学びに必要な力が育まれていることもある。
佐藤さんの長男は中学2年から約8か月間、勉強らしい勉強はしなかった。しかし、その間にオンラインゲームの攻略サイトを作ったり、同じ趣味の仲間とチャットで英語のやりとりをしたりしていた。高校受験が近づくと、その経験が活きて、プログラミングや英語に興味を持ち、自発的に学び始めた。結果的に、IT特化型の高校に合格し、今では充実した高校生活を送っている。
また、勉強をしない時期があっても、集中的に学習すれば十分挽回可能。特に基礎的な内容に絞り、効率的に学ぶことで、短期間でも必要な学力を身につけられる例は多い。受験直前の3か月で基礎から始めて合格した生徒や、苦手教科を捨てて得意科目に集中する戦略で志望校に入った例もある。
何より、勉強だけが高校受験の準備ではない。自分自身と向き合い、なぜ学びたいのか、どんな将来を描きたいのかという内面的な成長の時間も、進路選択には欠かせない要素。焦らず子どものペースを尊重することで、結果的に前向きな受験準備につながることも多い。
将来の選択肢を広げるプログラミング学習のメリット

不登校の子どもにとって、プログラミング学習は将来の選択肢を広げる大きな可能性を秘めている。プログラミングの特性として、場所や時間に縛られず自分のペースで学べる点が、不登校の子どもに適している。また、成果が目に見える形で表れるため、自己効力感を高めやすい。
私の息子も不登校期間中に、無料のプログラミング学習サイト「Progate」や「ドットインストール」などで基礎を学び、簡単なゲームアプリを作る達成感を味わった。これが自信につながり、「自分にもできることがある」という実感を得たことは大きな転機となった。
プログラミング学習のメリットは学習意欲の喚起だけでなく、論理的思考力や問題解決能力の向上にもつながる。これらのスキルは他の学習にも応用可能で、受験勉強における理解力や応用力の向上にも効果的。また、プログラミングの基礎知識があれば、IT系の学科を持つ高校への進学も視野に入れやすくなる。
山本さんの娘さんは美術が好きだったが、プログラミングでデジタルアート作品を制作するうちに、IT×アートの可能性に目覚めた。結果的にメディアアート学科のある高校に進学し、将来の夢も広がったという。不登校の期間を利用して身につけたスキルが、新たな進路の発見につながった好例といえる。
今はオンラインでプログラミングを学べる環境も充実。「Scratch」などの視覚的に学べるツールから始め、徐々にステップアップしていくことも可能。子どもの興味に合わせて、ゲーム制作、アプリ開発、Webデザインなど、様々な方向性からアプローチできる
中学生の不登校を経験した親だからこそ伝えたいこと
不登校の中学生を持つ親として経験から伝えたいことをまとめると:
- 「待つ」ことの大切さ:子どもの回復には個人差がある。焦らず、子どものペースを尊重することが長い目で見れば近道。
- 「普通」の価値観から自由になる:「みんなと同じ」を求めず、子どもに合った道を探す勇気を持つことが重要。
- 親自身のケアの大切さ:親が疲弊していては子どもを支えられない。親の会などで気持ちを共有する場を持つことも必要。
- 多様な進路選択肢の存在:従来の全日制高校だけでなく、通信制や定時制、高卒認定など様々な選択肢がある。必ず子どもに合った道はある。
- 「今」の状態が「永遠」ではない:不登校や学習の遅れは一時的なもの。多くの子どもが時間とともに自分のペースを見つけている。
- 小さな変化を見逃さない:一見変化がないように見えても、子どもは常に成長している。小さな前進に気づき、認めることが大切。
- 「失敗」を恐れない:受験に失敗しても人生は終わらない。むしろそれが貴重な学びになることも。
- 親子の信頼関係が最も重要:どんな進路を選んでも、親が無条件に味方であることを伝え続けることが子どもの安心感につながる。
- 専門家や支援機関を活用する:一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや教育支援センター、フリースクールなど外部の力を借りることも大切。
- 長期的な視点を持つ:高校受験はゴールではなくスタート。その先の人生を見据えた選択を一緒に考えていく。
※”不登校の中学生でも高校受験は乗り越えられる!親が知っておくべきサポート方法”をまとめ

子どもの可能性を信じたい。私にもできることがあるんですね